病院建設適正規模と計画
 

手術室の数、多すぎませんか?

2016年03月01日

 

最近、竣工後数年たったある病院の院長先生を訪問し、現在の経営状況など様々お話をうかがっている中で、手術室関連の話になったとき少々浮かない顔をされました。

設計から工事中に渡って、各診療部門のトップの先生方や設計者と熱い議論を重ね、納得してオープンしたはずなのに、どうも思い通りの結果になっていないとのこと。

年間の手術件数も稼働率も伸び悩んでしるし、そもそも医師もかなり入れ替わって当初の考え方通り運営されていないどころか、改修計画の突き上げさえあり、使っていない手術室はいつのまにか足りなかった器材庫になっているありさま。

「まぁ、あんまりせわしない稼働状況だと、医療事故に繋がりかねないからねー」

と、ご自身を納得されるようにお話されていました。


でも、、、
それで本当に良かったのでしょうか。


院長先生は、設計時に実は手術室の数がなんだか多いなと感じられていたけれど、先生方の情熱に負けてしまった、ということは無かったでしょうか。

手術室の収入は、病院によっては病院収入の約3割近くを占める経営の柱のひとつです。
そのため医療経営方針としては、DPC(包括医療支払制度)のなかで特に外科系の急性期病院は手術室の件数を増やす傾向にあります。
また、年間の手術件数は、雑誌などでランキングされる優良病院を決定する重要な評価項目となっているようです。

手術室及びその周りの計画は、効率的な運用方法はもとより、建築を含めた総合的な検討が必要です。
担当の医師の意見や要望も重要ですが、他の病院の成功事例などに左右されず、病院全体の事業計画の中で、手術科目、室数、手術部門の大きさ、そして将来対応などを緻密に、そして戦略的に検討、検証されるべき時代となってきています。

以前は、病室約6070床に一部屋というような目安で手術室の数が計画されていましたが、現在は病院独自の診療方針の中で、ベッド数とは無関係に手術室の数は決まる傾向にあります。

その上で、イニシャルコストの莫大な手術室の数は極力抑えて計画し、そのかわり稼働率を上げて、年間の手術件数を増やすという方向性に向かいつつあります。

データによると、国公立病院で年間の稼働実績は一手術室当たり平均523件、稼働率は60%です。
おおむね手術室一室当たり1日1〜2件であり、これでは欧米と比較しても効率が良いとは言えません。
もちろん、手術件数や稼働率のアップは、手術自体の難易度や麻酔医・看護師数の問題が大きくからみ単純な問題ではありませんが、建築的な工夫により手術室の稼働率のアップを実現し、手術室一室あたり1日3回転以上を可能とし、加えて手術ゾーン面積の縮小化も実現している病院も増えてきています。


建築的な工夫の事例を挙げますと、

・どのような術式にも対応できる、コンバーチブルなサイズの手術室

・検査や滅菌等の関連諸室と、スムーズな連携をおこなえる効率的な動線計画

・手術室の患者在室時間を減らすために、麻酔等の術前とリカバリーの術後を建築的に区分

・科学的根拠のない過剰な感染対策を見直し、清潔・汚染の分離動線を整理し、面積を縮小

などがあります。


手術室という経営の柱である部分を、計画の初期段階から総合的に様々な角度から検証し、過不足のない規模の手術室及び関連した診療ゾーンの計画にしていくことは、建設費を抑え収益性の高い病院を作り上げる為に必須です。


もし、手術室の計画に不安を抱いているならば、コンストラクション・マネジメント(CM)会社として、数々の病院プロジェクトを経験し、オープンまでをしっかりとアドバイスできるプラスPMに、是非一度ご相談ください。