病院建設ライフサイクルコスト
 

未来の院長にすてきな病院を残すために・・・

2016年08月01日

 

地域包括ケアが推進される今の時代に、その核となる病院において求められる事は、変化に強く、持続性があるということです。

経営的に安定し、診療機能的にも予想を超えた世の中の激しい環境変化に柔軟に対応できることで、はじめて長期にわたって地域に貢献する病院として維持することができます。

病院から受けるご相談の中でも多いのが、自身の病院が激しく変わる内外部の環境への対応がうまくいっておらず、なにか建築的にうまく解決できる方法はないかという切実な課題です。


例えば、

・屋上に増築予定スペースを設けていたが、近年構造基準が改正して、増築が不可能となった。

・院内感染対応の陰圧制御の空調システムを導入しようとしたら、そもそも手術室やレントゲン室の稼働をとめないと工事が難しいことがわかった。

・老朽化した配管を取り替えようにも、病室の天井を取らないと出来ないが、患者を移動するスペースが何処にもない。

・でこぼこした外観のデザイン重視のカーテンウォールのデイルームをつくったが、西日を受けて空調の電気代が予想以上にかかるし、外壁のメンテナンスのための人件費が予想以上となり、経営を圧迫している。

などです。

こうした問題は、

(1)可変性・更新性への対応

(2)ライフサイクルコスト(LCC)をイメージした将来への配慮
LCC:建築の生涯にかかる総費用。病院の場合法的耐用期間はRCSRC39年)

以上の二つの視点があれば、防げたのではないかと考えます。


(1)ですが、
建築計画にあたっては、将来の改修や増築時に費用を浪費することなく、スムーズに対応できるように、基本計画~基本設計段階において充分に検討することです。
建設費が高騰している今の時代、一円でも安く病院を建てたいと思われるのは当然ですが、将来的な視点で投資を考えた方が結果として合理的です。

(2)については、
持続的で安定した経営にとって、水光熱費や維持管理費、メンテナンス性への対応についても、設計時において充分な対策が重要だということです。
例えば、病院のエネルギー消費量は事務所建築に比べて約5倍といわれます。省エネ対策によるランニングコスト低減は、経営安定に大きく寄与します。
また、ライフサイクルコストにおける建設費の割合は約20%といわれ、ほんの氷山の一角であることからも、大半を占めている運用段階での光熱水費や維持管理費用が、いかに安定した病院経営の持続性に影響を与えるかがわかります。


(1)の可変性について具体的なお話をしますと、例えば病棟は、療養環境に対するニーズの変化に素早く対応し、ベッド稼働率の安定を図るための改修が避けて通れません。
その為にはプランの変更にあたり、ローコストでそしてスピーディに行えるような可変性の高い建物にしておくことが有利となります。
その建築的な回答としては、構造を鉄骨造とし、柱間を極力長くすることで、フロア内の柱を少なくすることがあげられます。
それにより、改修時のプランの制約が少なくなると共に、上下階の廊下の位置も変えることができる為、階毎に個室専門病棟や感染症病棟など特徴を持たせた計画も容易となります。
また将来の高齢化社会に対応して、介護老人保健施設や有料老人ホームへの転換、ひいては子育て支援施設などとの合築などにあたり、施設基準の制約に拘束されることなく対応することができます。


ロングスパンにすることで、構造的にはややコストがアップしますが、予想が困難な社会的なニーズや診療報酬改定に柔軟に対応することができる大きなメリットがあります。
その他にも可変性についての、様々なアイディアが多くの病院にて具現化され、有効に機能しています。

病院事業での担当者のかたは、多様な関係者間の調整に忙殺されています。
なかなか将来のことまで気を配る余裕を持つことが難しいですが、未来の院長が気苦労なく増改築ができるように今何をやればいいのかをお悩みでしたら、コンストラクション・マネジメント(CM)会社として、数々の病院プロジェクトを経験し、開業までをしっかりとアドバイスできるプラスPMに、是非一度ご相談ください。