病院建設
 

設計ヒアリングで大切なこと

2017年10月02日

 

先日、新病院設計中の病院さんで、スタッフの方々を集めた部門別ヒアリングという打合せに同席する機会がありました。
その日は手術部門がテーマでしたが、会議後そのスタッフや建設準備委員会の方々から、相談を受けました。

「ヒアリングをするので、課題や要望を出して欲しいと言われるのだけど、忙しい業務の合間に急に連絡を受けて、建築に対する要望をどう考え、なにを準備すればいいのか、そもそもわからない、、、」

といったことや、実は手術部門の打合はもう3回目なのだが、毎回思いつくままに要望を言ってはみたモノの、設計者に旨く伝わっていないようで、堂々巡りの議論となっており、まとまるのか不安になっているというお話しでした。

 

設計者が行うヒアリングの目的は、現場スタッフの方と直接対話する中で、病院側の要望を的確に把握し、与条件という形で整理した上で、建築というハードに変換していくことにあります。

大多数のスタッフの方が病院の設計に参加することが初めてという中で、病院スタッフの方が要望を正確に設計者に伝えるのが困難である場合が多いため、上記のような悩みを抱えることになるようです。

 

実績ある病院設計者はそうした現実を熟知していますので、的確に与条件を引出し、合意形成を図ろうとは努力をされています。
しかし、長い自身の経験の中で培ってきた成功事例に、議論の結論を先読みしてあてはめていく傾向もあり、その病院独特の特殊な要望が、設計者が無意識に設定している原理原則に当てはまらないと判断されると、設計の中にスタッフの要望が反映されていない場合を目にすることも多々あります。

 

では、どうすれば新病院にて実現したい要望を、建築の専門的知識がなくても、設計者に理解してもらえるのでしょうか。
病院のヒアリングにて伝えるべき【重要】なポイントは、以下の3つです。

1)動線

2)ゾーニング

3)スペースの大きさ

以上が正しく伝わらないと、開院時や運用開始後に、「こんなはずではなかった」という後悔の言葉がでることになってしまいます。

 

1)の動線とは、
人や物がどう動くかについての主に業務のフローのことです。

その動きがむだなく実現している病院が、動線にムダがない病院と言われるものです。
そのためには、まず業務の内容を洗い出し、機能的にフローを整理し、そのフローを設計者に伝えることが重要です。

例えば外来での受付~問診~採血の流れや、検体をどう搬送するかの流れなど、個々の病院として効率的で確実な動きというものがあると思います。

そのフローを設計者に示し、図面として翻訳してもらったものを、確認するといったプロセスは、動線において使い勝手が良い病院が実現する方法のひとつです。
緊急を要する診療行為のなかで、効率的で機能的な間取りを望むなら、まず現状の業務を分析して見直し、良いとこも悪いところも整理して伝えることが重要です。

 

2)のゾーニングとは、
動線とも関連性がありますが、部門毎もしくは外来と検査関連など諸室相互の関係や近さのことを指します。
ゾーニングは、病院の特色が現れるところです。糖尿病センターを持つような病院の場合
は、眼科の外来患者も糖尿病を併発しているため、眼科と採血等の検査関連が近い方が望ましいなどの診療上のノウハウの蓄積があると思います。
また手術部門でも、整形が多いのか呼吸器系や循環器系が多いのかで、画像診断関連の諸室との関係が変わってきますし、器材庫の位置も器具の入替が煩雑なら、その位置は計画上重要度が高いものになります。こうした病院内のノウハウを、ヒアリングで正確に伝えることが重要です。

 

3)のスペースの広さとは、
文字通り部屋の広さのことですが、医療機器や備品等の配置だけ
でなく、人・モノの動きも考慮して決める必要があります。

そのため、ヒアリングに際しては必要な機器を調べあげ、かつ1日の人の動きをまとめて設計者に伝えることが重要です。

レントゲンやリハビリのような部屋は、主要な機器の位置を明確にすれば、ほぼ部屋のサイズが決まりますが、スタッフステーションや検体検査室、薬剤部門、事務部門などは、机や収納などの細かい必要備品等を明確に洗い出し、またスタッフの方の動きを的確に反映したレイアウトでないと、使い勝手の良いスペースとはなりません。

 

最後になりますが、もっとも【重要】なことは、部門別ヒアリングの会議ですべて出し切ることです。
会議中は無言だったスタッフの方が、会議後の廊下で設計者を呼びとめ、実はかくかくしかじかと要望を個別に伝える光景を目にすることがありますが、こういったつつしみはヒアリングには不要です。

設計者に対しては、「配慮はしても、遠慮は不要」です。

ヒアリングで伝えていない、もしくは伝わらなかった要望は、99%できあがった病院に反映されることはありません。
無言で察してもらえることは、まず期待できないものと考えたほうがよろしいでしょう。

 

設計者とのコミュニケーションに悩み、合意形成に不安を感じるようでしたら、コンストラクション・マネジメント(CM)会社として、数々の病院プロジェクトを経験し、開業までをしっかりとアドバイスできるプラスPMに、是非一度ご相談ください。