サ高住事業計画
 

建設会社の選び方で、建設費は変わります!

2017年07月03日

 

建設費が変わると、事業が成立しないこともあります。

先日、ある金融機関の方から相談がありました。

金融機関のお客様の土地有効活用として、サービス付き高齢者向け住宅を建設して、運営会社に借上げてもらうという事業を検討しているとのことです。

金融機関からは、数社の建設会社に相談をして、建設費を出してもらったようですが、建設会社によって差が大きくて、どう評価していいかわからない。

「どうして、こんなに建設費が違うのでしょうか」という内容でした。

 

想定規模は、単身高齢者向け居室60室で、延べ床面積2,300㎡(約700坪)

 

建設会社A社は6億6千万円、建設会社B社は8億1千万円

その差は、1億5千万円!

1坪当たりの建設費では、建設会社A社は95万円、建設会社B社は115万円

 

この建設費の差は、事業にどのような影響を及ぼすのでしょうか。

土地オーナー(建築主)側からみますと、例えば、1室あたりの賃料を6万円で運営会社に貸すとします。

その場合、年間収入は(6万円×60室×12か月)=4,320万円となります。

建設費に対する収入の割合はA社に建ててもらうと6.5%ですが、B社に建ててもらうと5.3%となります。

単純に家賃収入をすべて返済に充てるとすると、A社に建ててもらうと16年で完済しますが、B社に建ててもらうと19年かかります。(金利や税金等は除いております)

 

今度は、運営者(借上げ)側からみますと、例えば、土地オーナーが建設費に対して年間の賃料を6.5%と要望したとします。

その場合、A社に建ててもらうと、1室あたりの月額賃料は(6.6億円×6.5%÷12か月÷60室)=6万円となりますが、B社に建ててもらうと、(8.1億円×6.5%÷12か月÷60室)=7.3万円となります。
運営会社とすれば、安く建ててもらえれば、土地オーナー(建築主)の期待する利回りが同じであれば、安く借りることができます。
そうすれば、価格面で競争力のあるサ高住の供給が可能となります。
逆に、建設費が高く、要望する賃料が高くなれば、事業として成り立たないので、この事業からは撤退するということも十分にあり得ます。

 

なぜ、これほどまでに建設費に差が出るのでしょうか。その主な理由は、

1)建設会社によって、経費率が異なります。(→会社の規模によって異なることが多いです)

2)建設会社によって、利益率が違います。(→会社の経営状況、繁忙度合いによって異なることが多いです)

 

そして、もう一つ

3)建設会社によって、得意、不得意の用途が異なり、建設費に差が出ます。

ということです。

 

サ高住などの高齢者施設の建設に慣れている建設会社は、工事の勘所がわかっています。
また、下請けの専門工事会社も慣れているので、過去の実績から見積りを作成できます。
工事の段取り(準備や資材調達など)も効率的でムダが無い。

逆に、不慣れな建設会社は、分からない工事については、受注してから赤字にならないように見積りを作成してしまいます。
更に、下請け会社も不慣れですので、金額に余裕をもって見積りを作成してしまうことになります。
こうした、経験の差は建設会社の作る見積書に多大な影響を及ぼします。加えて、工事の内容(出来具合)にも違いが出ることでしょう。

 

実際にプラスPMで委託をいただいておりますコンストラクション・マネジメント業務の発注支援段階では、入札に参加していただく建設会社の選定にはいろいろな要素を加味して行います。
発注する建物の用途や規模に応じて、会社規模や過去の実績、会社の経営状況、担当していただく現場代理人の経歴などです。
技術力もあり、見積金額も安く入札していただけるような建設会社に参加していただき、その中で更に競争原理を働かせて、金額を下げる。

 

価格だけで建設会社を決めるのは危険な部分もありますが、安く請け負ってもらえる建設会社を選ぶのも、発注者側のノウハウです。

過去の取引や世間の噂だけで建設会社を選定するのではなく、綿密な戦略を持って建設会社を選定することが必要なのです。